身体の中で視覚が変化した高齢者の介護

人の身体は20歳を超えた辺りから、加齢と共に色々なところが衰えていきます。そして、視覚系も例外ではなく、視力が単純に低下します。特に目のピントを合わせる機能に老化の影響が出やすく、高齢者はピントが合うまでの時間が長くなったり、対象の位置や距離次第ではピントが合わなくなったりします。また高齢者は、白内障や緑内障にかかりやすいです。白内障は視力が落ちると共に、視界が全体的にかすんだり、光の強さ次第で見え方が変わったりします。緑内障では眼圧の高さが視神経に影響を及ぼし、視界の一部が欠損してしまうことがあります。いずれの場合でも、若い世代のように目に映るものを隅々まで鮮明に見ることがほぼ不可能になります。

そんな視界が変化した高齢者の介護をする際には、視覚以外の感覚を活用すると良いです。特に指先の触覚は出番が多く、ものの質感や大きさなど、色々な情報を伝えることができます。その指先の感覚を使う際には、高齢者の手首辺りを持って、誘導することが多いです。また、状況に応じて細かい説明をすることも大切です。特に「これ」や「あそこ」といった代名詞は、なるべく使用しないようにしましょう。代名詞はその対象がはっきり視認できる際に便利ですが、視認できない場合は何を指しているのかが把握しにくいからです。したがって、可能な限り対象の名前や具体的な特徴を説明するようにした方が良いです。そして、食事の際には、12時を奥、6時を手前という風にテーブル上を12分割して、位置を教える手法がよく使用されます。