高齢者の病気は心の状態とも関連する

高齢者の病気には、がん、心臓病、脳卒中などの生活習慣病だけではなく、うつ病などのメンタルヘルスに関わる課題も存在します。体力や気力が十分にある若い時期に比べ、年齢を重ねている高齢者は生活の質をそのまま維持することは難しくなるケースが多いでしょう。もし、病気のレベルとまではいかないにしても、多少は身体能力の衰えを感じたり、健康的なライフスタイルを継続する自信を失ったりすることもあるはずです。その結果、心理的にもストレスや疲れを感じることが増え、精神疾患を発症するリスクも生まれます。例えば、現役では会社で活躍し仕事を頑張ってこなしていた人も、油断はできません。本人は心身共に充実した人生を進んでいると思っていても、退職後には気分が落ち込み社会とのつながりが希薄になる可能性もあるからです。

活動意欲や身体機能の低下を実感するだけでも、将来への不安を感じたり無意識のうちに消極的な生活スタイルを選択したりすることでモチベーションが上がらないという問題点もあります。特に、今後の日本社会では人口の減少や少子高齢化が進行し、高齢者の孤立や介護などの問題が注目されています。実際に現代社会においてなかなか居場所が見つからず、孤独を感じる高齢者は増加傾向にあります。高齢者のうつ病、統合失調症、神経症、精神障害などに対応する医療機関や福祉施設は日本各地に展開され、公的機関だけではなく地域密着型の非営利組織や民間団体なども活動がなされています。